角川「短歌」時評連載開始のお知らせ/小玉朝子の情報を集めています

角川「短歌」2019年7月号(6/25発売)より、時評を担当させていただくこととなりました。

http://www.kadokawa-zaidan.or.jp/tanka/index.html

もう一名の時評執筆者は尾崎まゆみさんです。

はじめての時評、はじめての連載でどうなることかと緊張していますが、ともかく半年間、どうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、7月号掲載の時評には、昭和初期の歌人・小玉朝子を取り上げました。

小玉朝子は結社「橄欖」所属、前川佐美雄らの同人誌「短歌作品」(昭6~7)、「カメレオン」(昭7?~8)にも参加しており、佐美雄からも期待されていた歌人だったようですが、

昭和9年6月頃を最後に「橄欖」や短歌総合誌等から姿を消し、以後、消息がわかっていません。

昭和10年刊の『短歌年鑑』第2輯ではかろうじて神奈川の住所が記載されていますが、 現時点で、刊行物として名前が追えているのはそこまでとなります。

 

小玉朝子という歌人の名は現在ではほぼ全く語られることがなく、資料もあまり残っていませんが、その歌のみずみずしさ、あたらしさは、このまま消えてゆくのを待つにはあまりに惜しく思われます。

また、現代短歌の源流とみなされることも多いモダニズム短歌を検討するにあたっても、小玉朝子はその重要な構成員のひとりだったといえるでしょう。

この歌人について、何か情報をご存知の方がいらっしゃいましたら、こちらのコメント欄やメールにて情報提供いただけますと幸いです。

メール連絡先: mmiyako91@gmail.com

 

 

◆小玉朝子『黄薔薇』より抜粋

いちまいのガラスの魚(さかな)泳ぎゐて透明體となりし海なり

日のたまり黄色く負ひてわが母にお伽話をしてゐたりけり

情熱をこはしたひとに六月の花束を送る煙草もそへて

何とかの頬紅といふ異國品飾窓(まど)にならんでもう夏もなき

歸らうと早く云ひてよ人込みのにほひはわれをみなし兒にする